変わりたいとずっと望んでいたけれど、

少しずつ変わっていたことに気付かされ、

やがてまた同じ場所に辿り着く。

点と点のはずが、

蜘蛛の巣のように細くしなやかな糸で繋がり張り巡らされ、

ある「ひとつ」へと集約する。

毎年芽吹く、黄金色の緑。

今日、この瞬間に生まれた風の匂い。深い皺がいつのまにか刻まれた父や母の顔。

前よりもうんと研ぎすまされてきた、私の顔。

ああそう、きっと顎の横まで伸びたあなたの黒髪には、

白いものがずいぶんとまざっているのかもしれない。

変わっていくよ。あなただってわたしだって。

でも、これだけはかわらない。

一粒の雨、暗く悲しい瞳、朝日に暖められた台所、些細な視線の出会い、

ラズベリースコンにコーヒー、病院までの道、
まっすぐ海へと続く急な坂道、小さな子供の手、
車窓から見えるいつまでも続く麦畑

骨張った肩に顎を任せて見つめた青と白の空。騒々しく通り過ぎていく消防車。
古びたバスケットゴール、霧の中のぶどう畑

ミチおばさんの上がけ。

きっかけなんて、ただのお膳立て。

「ひとつ」が私に語りかける、気付きへのサインにすぎないのだから。

爪の先で弾けば、ばらりと破けてしまいそうな、そんな蜘蛛の巣が、

きらりと光を受けてしなやかに鮮やかに私たちの世界を映し出していく。

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