ray of light

 白。全てをゼロへと塗りつぶす白。
表の通りは全ての色を飛ばしてしまう白。
それは夏の始まり。

 コーヒーや食べ物、香水やら街の匂いさえ
ひんやりと冷やされ、床のあたりを大人しく漂っている
店内の静けさ。エアーコンディショナーの微かなうなり声。
ここは途切れたままの過去を再び始めるための場所。
つぎを当て、繕い、付け足し、今という名の
新しい過去の出来上がり。
お茶に入れた砂糖がゆっくりと溶けていくように、
会話する。
テーブルの上に置かれたこの大きな手を、
私はとても愛している。

 足元で濃く彩る、私の小さな影。
幾億の緑の細胞が、街の空気を大きく抱えては、
笑いながら放り出す。それは扉一枚隔てただけの
夢と現実の境。

木漏れ日の待つ表通りへ
今すぐ飛び出そう。

written by 藤沢佳乃

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